頼むから。頼むからもう電話をするな。メールを送ってくるな。俺は唯、久しぶりの自由な一日、そう、たった一日。俺は本屋に行って適当な文章に金を払い、それを楽しみたいだけなのだ。貴様らの言わんとすることは解る。貴様らも暇なんだろう?そしてその暇つぶしに、俺の反応を、俺の言動を、俺の時間を、蹂躙し、陵辱し、嘲笑し、そしてお前らは時が来ると颯爽と自室へ帰っていくのだろう。その全てに悪意はないのも解る。つまりはイノセント、この単語は貴様らのために或るようなものだ。しかし、それは確実に俺を蝕み、傷つけ、そして壊す。だから止めろ。俺は今日がすぎれば、また貴様らの世界に戻る。絶え間ない刺激、極彩色の青春、それに慣れきったお前らが構築するクソッタレ現実に、俺は戻る、戻される、だから今だけ。俺を孤独にしてくれ。そう、今だけ、今日だけ、たった一日じゃないか―――






そんなことを夢想しながら、独り、パソコンの前で波乗りに耽る。僕が何を考えようと、携帯電話は頑なに沈黙を保ち続けている。もう昼飯は済んだ。これから駅前の本屋に向かう。